News &Column

日本製鉄によるUSスティール買収2.1兆円は、高いのか安いのか?(3)~共同国有化と再上場の可能性~

2025年2月第1週に、日米首脳会談が開催されました。トランプ大統領と石破総理との間で、安全保障から経済問題まで広範なテーマが話し合われました。このコラムで取り扱っている日本製鉄によるUSスチール(USS)の買収交渉も、議題に上がったようです。今回のコラムではこの会談結果を踏まえ、今後考えられ得る展開を予想してみます…

アベノミクスの経済的帰結3~1ドル160円時代の処方箋 (2)~米国逆イールドの発生と解消について~

 2025年1月24日。今日の日銀政策決定会合で、日銀は利上げを決定しました。しかし、現時点では為替市場でのドル円相場の反応は限定的です。金融政策の変更により、日本の政策金利は1995年以来30年ぶりの水準に到達しますが、長期的な視点では引き続きドル高傾向が続く可能性が高いと予測されます。その根拠として、今回は米国の…

ディープステートとはなにか。トランプ次期政権とイスラエルとウォール街

 2024年11月に行われた米国大統領選挙では、ドナルド・トランプ大統領が圧倒的な勝利を収めました。「もしトラ後の世界を読む」と題したこのシリーズは、これからは「かくトラ」後の世界を読んでいくことになります。今回は、ドナルド・トランプ大統領の政策や主張を理解するうえで避けて通ることができない、「ディープステート」につ…

日本製鉄によるUSスティール買収2.1兆円は、高いのか安いのか?(2)~安全保障とレブロン基準~

日本製鉄(以下、「日鉄」)によるUSスティール(以下、「USS社」)買収が早くも新たな展開を迎えています。米国鉄鋼業界の有力な競合、クリーブランドクリフス(以下、「クリフス社」)が、対抗買収の可能性に言及しました。クリーブランドクリフスのCEOゴンカルベス氏は、「日本は中国より邪悪」といった趣旨のコメントまで発表し、…

日本製鉄によるUSスティール買収2.1兆円は、高いのか安いのか?

日本製鉄によるUSスティール買収が、日米の産業界のみならず、両国の政界も巻き込んで大混乱しています。当事者同士は既に完全合意しており、現在の状況を見る限り、株主からの異論もなさそうです。もし仮に、米国政府の承認が下りていれば、このディールは2024年の半ばには、TOBを経てクロージングまで完了していたことでしょう。 …

アベノミクスの経済的帰結2~1ドル160円時代の処方箋(1)~

2013年の3月、アベノミクスの始まりとほぼ同時に独立しました。アベノミクスが始まったから独立したわけではありませんが、アベノミクスがもたらし得る変化は、起業においては追い風になり得ると感じたことも確かです。その時に、アベノミクスがどのような影響をもたらすかについてのコラムを書きました。あれから12年。このコラムでは…

キリスト人とユダヤ人 第3回 プロローグ3~ユダヤ人の苦悩とキリスト人の誕生~

「キリスト人とユダヤ人」。この奇妙なタイトルのコラムを書く動機は、私自身の中にある、3つの強い違和感からきている。ひとつは、某国の元総理大臣が嬉々として連呼していた、「法による支配」という言葉への違和感。もう一つは私がイスラエルで感じた「宗教と科学の不思議な共存」に関する違和感。そして3つ目は、ユダヤ教を信じる人々の…

どっちが早いか抜いてみるかい?~テキサスシュートアウト~

ジョイントベンチャー(JV)は、異なる企業が共同で事業を行うための契約形態です。ますます変化が激しくなるビジネス環境においては、異なる国籍同士の企業が協力し合うクロスボーダーJVも飛躍的に増えています。これはいわば、ビジネス上の「結婚」とも言えますが、企業文化や商習慣が異なる2社の協業は、開始当初は思いもよらなったす…

余ったお金は掃き掃きしましょう。「余剰キャッシュフロースイープ」

余剰キャッシュフロースイープ(Excess Cash Flow Sweep)とは、企業の財務管理において重要な手法の一つで、主に債務返済の加速を目的としています。この仕組みは、企業が一定期間内に営業活動から得たキャッシュフローを、まず必要な支出に充当し、その後に残った余剰キャッシュフローを特定の目的、主にローンの元本…

フライングはだめよ。クロスボーダーM&Aで留意すべき「ガンジャンピング規制」

ガンジャンピングとは、もともと陸上競技において「鉄砲飛び越えてしまう」つまり「フライング」を意味する英語です。しかし、ビジネスの世界ではむしろ、クロスボーダーM&Aにおける競争法違反のことを指すケースがあります。これもまた、ちょっとシュールなM&A用語です。では、具体的にはこのガンジャンピングとはどの…

株主投資家の取り分を「キック」せよ!~「エクイティキッカー」

コーポ―レートファイナンス領域でしばしば聞かれる「エスプリ」の効いた専門用語。恐らくは、渉外専門の弁護士や投資銀行家により、これまで数々のウィットの効いた業界用語が生まれてきました。今回はそんな中でも私がちょっとお気に入りの、「Equigy Kicker」をご紹介します。 ■エクイティキッカーとは?  エクイ…

ドナルドトランプ大統領候補の公約「Agenda47(アジェンダ47)」を紐解いたら、「もしトラ」後の世界が見えてきた。

 スーパーチューズデーが終わり、共和党予備選ではトランプ前大統領が完勝。共和党の大統領としての地位を事実上確定しました。今後は、民主党の現職大統領であるバイデン氏との11月の本選に向けた戦いが激化していくことになります。見た目上は圧勝に見えますが、まだまだ不確実性は高く、「ほぼとら」とまでは言えない状況です。 …

キリスト人とユダヤ人 第2回 プロローグ2 スピノザの神様~宗教と科学の不思議な共存~

 2018年の12月にイスラエルを初訪問した。旅は人を変えるという。しかし、不惑の40歳を過ぎてからの旅で、それまで経験のないような衝撃を受けるとは思っていなかった。渡航のきっかけは、とある日本のドローンスタートアップの創業者の招きだった。日中はいくつものスタートアップ関係者と交流した。ドローンの技術は目を見張るもの…

暗号資産、仮想通貨、そしてデジタル円通貨の将来

日本でも、中央銀行デジタル通貨(デジタル円)の実装に向けた議論や実証実験が少しずつ進められてきました。ここにきて、先行する各国の動向(特に中国)を意識してか、取り組みがさらに加速しつつあります。弊社でも定期的に、デジタル通貨や暗号資産、それを支えるブロックチェーンの動向などをモニタリングしてきました。今後、日本銀行が…

ギガキャストがもたらす衝撃 ~アルミダイキャストのイノベーションは自動車業界をどのように変革するのか~

先日、東京モーターショーから装いを改めた「ジャパンモビリティーショー(JMS)」が東京ビックサイトで開催されました。最後の東京モーターショーはコロナが始まる直前の2019年11月に開催され、これを最後に4年間東京での国際的なモーターショーは開催されていませんでした。今回JMSとなり、最後の東京モーターショーでは不参加…

日本型ユダヤ陰謀論とその危険性について~3つの源流とその派生型~

 中東紛争を理解するために重要なことは、当事者であるイスラエルの人々とパレスチナの人々が、どのような国民性や民族性を持つ人々なのか把握することでしょう。しかし、特にイスラエル国籍を持つ人々の大多数を占める、ユダヤ人と呼ばれる人々の民族性や国民性は、世界で最も誤解されやすいといっても過言ではありません。これは、過去1,…

故安倍総理の中東訪問における「靴デザート」事件から何を読み解くべきか。

 現在の中東紛争を考える上で重要なことは、全ての中心にいるイスラエルのネタニヤフ首相という人物がどのような政治家なのか、という点です。中東紛争は、米国の対応を通じてウクライナ、台湾とも連動し得ます。つまり、ネタニヤフ氏が何を考え、どう判断するかは、今後の世界情勢にも直結する可能性があります。 しかし、イスラエル…

米国とイスラエルの間に安全保障条約はない。それなのになぜ米国民は年間30億ドル以上も支援し続けるのか。

 中東でまた戦争が起きました。弊社は、日本のスタートアップ支援がきっかけとなり、これまでにイスラエルのスタートアップや様々な現地コミュニティと交流をする機会を得てきました。そうした中で、イスラエルとパレスチナが抱える政治的・宗教的な問題についても考察し、理解を深める必要性に迫られ、考察を深めてきました。今、一刻も早い…

ウェブ開発フレームワーク「Django」の秀逸さについて

 前回のコラムでは、ChatGPTに教えてもらったら開発初心者が会社のウェブサイト(このページ)を構築できたことを書きました。この開発においては、「Django」というウェブフレームワークを採用しました。Djangoは、日本ではあまりメジャーではないものの、海外では広く普及しています。インスタグラムやYouTube、…

中国の自動車販売データをよく見てみたら、既に景気後退に入っているようにも見える。

 中国恒大が米国事業の破産申請手続きに入ったことに加え、不動産専業の碧桂園についても連日経営危機が報じられています。中国経済が少なくとも変調を来たしていることは間違いないでしょう。不動産セクターは、中国のGDPの3割を占める巨大産業です。共産主義国家であるため、土地の所有が認められていないにも関わらず、産業規模がこれ…

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イグナイトは、3つのサービスを提供しています。

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イグナイトは、セルサイド(事業を売却される方)専門のM&Aアドバイザーです。サービスの特徴・ご支援内容・報酬体系はこちらをご覧ください。

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顧問/アドバイザー/社外役員

M&AからIPO、そして上場後のファイナンス戦略まで、てスタートアップ企業やグロース上場企業皆様の成長をご支援します。

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中東の地政学から世界の明日を読む

2023年10月7日に始まった中東紛争は、今後の世界情勢に非常に大きな不確実性をもたらしつつあります。弊社は、これまでにイスラエルのスタートアップとの交流を通じて中東について学んできました。このコラムは、そうした知見を通じ、多面的な視点から中東の地政学と世界情勢について情報を発信します。

インフレが変える世界

デフレもインフレも、世界経済と社会構造に重要な影響をもたらします。しかし、バブル崩壊以降長いデフレに沈んだ日本は、オイルショック以降実に60年に渡り、インフレを経験してきませんでした。進行しつつあるインフレにどう対処していくか。このシリーズでは「インフレ」をキーワードに処方箋を探ります。

「もしとら後」の世界を読む

2024年最大のイベントは言うまでもなく年末に行われる米国大統領選挙です。「もしとら」が実現したとき、世界はさらに大きく変わるといわれます。このコラムシリーズでは、ドナルドトランプ氏が大統領にもし再選したら、日本と世界の経済にどのような影響が起こりうるのか。トランプ陣営の公約や動向分析し、洞察を試みます。

NEWS

当社に関する記事やニュースはこちらこらどうぞ。

スタートアップファイナンス

スタートアップのファイナンス領域(資金調達/IPO)は、通常のコーポレートファイナンスとはまた異なる特徴を持ちます。このコラムでは、これまで複数社のIPOに関与させていただいた経験から、スタートアップファイナンス独自のテーマを取り上げます。

フィンテックの現在地と未来

フィンテックという言葉が生まれてすでに数年が経過しました。その間、暗号資産をはじめとする様々なテクノロジーが生まれ、関連するスタートアップも増加しています。こちらでは、フィンテックの現在地と将来について洞察します。

自動車産業の変革を読む

電気自動車の登場により、自動車産業は100年に1度といわれる大変革期を迎えています。自動車産業は、その産業規模、関連産業のすそ野の広さ、関連雇用者の数の多さなどから、産業の王様と言われています。この巨大産業の動向をデータをもとに読み解きます。

ChatGPTが変える未来

ChatGPTの登場により、2023年はAI本格化元年として記録されるでしょう。弊社も、業務へのAI導入を積極化しています。このコラムではAIの驚くべき可能性と脅威について考察します。※当サイトは、ChatGPTが生成したPythonコードにより実装されています。

キリスト人とユダヤ人

ユダヤ教を信じる人を「ユダヤ人」と呼ぶのに、キリスト教を信じる人のことを「キリスト人」と呼ばないのはなぜでしょうか。このコラムは、世界人口の5割超を占める「アブラハムの宗教」(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)の中で、特にユダヤ教とキリスト教の歴史を紐解きます。

エスプリの効いたM&A用語集

コーポレートファイナンスの領域では、さまざまなテクニカルタームが「発明」されてきました。そのほとんどは、欧米の投資銀行家や渉外業務を専門とするリーガルファームなどが考案してきたと思われます。その中から、エスプリの効いたちょっと面白いものをご紹介します。

あのM&Aは、高いのか安いのか

M&Aにおいては、最終的に全ての情報と交渉の結果が最終的に価格に反映されます。このコラムシリーズでは日々実行されているM&Aの中から象徴的な事例を取り上げ、その買収価格について分析します。

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会社概要

社名 IGNiTE CAPITAL PARTNERS株式会社
設立 2013年3月
所在地 東京都中央区勝どき6-3-2
資本金 990万円

Feature

代表取締役経歴

GMDコーポレートファイナンス(現KPMGFAS)にてM&Aアドバイザリー業務に従事。バイサイド、セルサイド双方の案件エグセキューションを経験。 その後、JAFCO 事業投資本部にてバイアウト(企業買収)投資業務に従事。 また、IBMビジネスコンサルティングサービス(現日本IBM)にて、通信/ITサービス企業の事業ポートフォリオ戦略立案等、情報通信/ITサービス領域におけるコーポレートファイナンス領域のプロジェクトをリード。
2013年 IGNiTE CAPITAL PARTNERS株式会社設立。代表取締役就任。
日本証券アナリスト協会検定会員
日本ファイナンス学会会員

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