今からほぼ2年前の2023年5月~7月にかけて、人生で初めてのフルスタック開発に挑戦しました。と言っても、複雑な業務アプリを作れるわけもなく、まずは自社のウェブサイト(このページ)の開発にチャレンジした次第です。その数か月前、2022年12月末にOpenAiからChatGPTがリリースされていました。私が開発に挑戦した時は、ChatGPT3.5Turboが最新版でした。はるか昔の学生時代、少しだけHTMLをかじってすぐに挫折して以来、20年ぶりにCUIと向き合いました。システム構成から用語まで、全てをGPTに聞きまくって、「勉強しながら開発する」というかなり無謀なチャレンジでしたが、およそ1ヵ月半くらいでブログアプリ機能付きのコーポレートサイトを構築することができました。
しかし一方で、やはり当時の3.5Turboのスペックでは、30分から1時間ごとに、優先利用アクセスが切れて3時間以上はAIが使えなくなるなど、大きな制約がありました。これをずっとやるのは無理だな、と思った次第です。なにしろエラーコードがでたらそれを全文コピペしてAIにコードを修正してもらうことしかできず、3.5Turboが生成するコードもまあまあ間違っているので、タスクと課題の切り分けを相当細かく刻む必要がありました。
あれから、2年
GPT5のリリースを機に、ずっと気になっていながら着手できていなかったセキュリティの脆弱性対応や、管理画面と機能の再構築(具体的には、サポートが終了したCKeditor4を5にリニューアルする)に挑戦しました。AIが劇的に進化していることは日々の業務でよく理解していたので、今回は多分1週間(40時間)あれば改築できると踏んでいました。
結果は・・・・
トータル6時間(3時間×2日)
見た目はほとんど変わらないものの、裏側の仕組みは相当根本的な改修が必要だったにも関わらず、見積もり期間の五分の一でできてしまいました。生成AIの進化のスピードに驚愕するばかりです。実装してみて痛感したことをいくつかまとめてみました。
- 圧倒的処理速度と処理能力:
どれだけファイルを読み込ませてもほぼ瞬時に分析し、一発で正確なコードを生成する。本当に別次元。
画像を通じたコミュニケーションが可能:
UIのエラーなどを、キャプチャ画像を与えることで正確に状況を把握し、即修正コードを提示。S3やHerokuのマニュアルやチュートリアルもほぼリアルタイムで最新情報にアクセス:
3.5turboは知識のカットオフが半年以上前だったので、最新のエラーやバグを学習していなかったが、GPT5は完全にキャッチアップ。AIエージェントに複雑なタスクを与えることが可能:
エージェント機能を活用すると、勝手に作業しては適宜進捗報告をしてくるので、自分の時間のほとんどを「課題の切り分け」に使うことができる。- AIの学習蓄積:
膨大な過去の履歴も学習済みなので、ひとつの変更に伴う関連コードの変更まで、漏れなく対応してくる。
たった2年でここまでの進化。ここから3年でどうなってしまうのだろう・・・・。確実に言えるのはシステム開発やサービスのあり方は、本当に根本的に変わるのは間違いないでしょう。いわゆるコーディング要員とか、ほんとに存在しなくなると思われます。これは、多重下請け構造で、IT土方と揶揄されてきた日本のIT産業の構造を根本的に変える可能性があります。恐らくTIer2、3に位置する会社は相当厳しい。
そして、本来そのようなレガシーシステムの解決策として市場を拡大し、ここ10年のマーケットをリードしてきたSaaSビジネスも、今度はAIによって非常に大きな影響を受けることが確実です。これについては、また別途書いてみたいと思います。
それにしても、進化の速さに震えるしかありません。