ChatGPTに教えてもらったら開発初心者がウェブサイトをフルスタック開発できてしまった話


ChatGPTに教えてもらったら開発初心者がウェブサイトをフルスタック開発できてしまった話

日本は経済大国としての地位を誇りながら、その生産性についてはいまだ他の先進国と比べると見劣りします。しかし、最近のテクノロジー進化の中で、人工知能 (AI) と特に大規模言語モデル (LLM: Large Language Models) の出現は、日本企業の生産性向上の新たな突破口となる可能性を秘めています。

 

■プログラミング未経験でもフルスタックのウェブサイトが構築できるという現実。

 このウェブサイトは、わたし(当社代表)が自らPythonを利用したウェブフレームワーク(Django)を活用して作成しました。しかし、わたしはPythonの専門家ではありません。コーディングどころか、システム開発に本格的に関与した経験もありません。しかし、チャットGPTと会話しながら開発工程の初歩を学び、ほとんどのコーディングをChatGPTに任せ、実際にウェブサイトを構築することができました。

  いわゆる、「ノーコード・ローコード」といわれるプログラミング負荷の少ないサービス(例えばWordPressに代表されるCMSツール)を活用したわけではありません。フロントエンドは海外のテンプレートサイトで100ドルで購入したBootstrap5のものを使い、バックエンドは、「ゴリゴリに」Pythonコードを書き(正確にはChatGPTに書いてもらい)ました。そして、世界3大クラウドが提供するクラウド環境にデプロイし、DBやStrageと繋ぎこんで、初歩的なウェブアプリケーションを構築することができました。

 IT領域のビジネスを理解しようとしたとき、多少なりともプログラミングが分かることは、ITの本質を少しでも深い部分で理解することができるかどうかにおいて、決定的に重要だということも、この経験を通じて改めて痛感しました。もちろん、初歩的なウェブサイトを構築できたからといって、ITのことが全て理解できたなどと考えるのは浅はかでしょう。しかし、自分でVSC(コーディングソフト)を使い、コマンドラインで様々なライブラリーをインストールしたり、開発環境を整備する経験をしたことで、少なくとも自分の中では、これまでにない大きな前進があったと感じます。

 このウェブサイトは、いわば「AIネイティブ」なウェブサイトといえます。これは、これまでなら考えられないことです。このコラムシリーズでは、こうしたわたし自身の驚きの体験から、大規模言語モデルが今後ビジネスや社会に与える影響について考察していきたいと思います。

■ITは英語でできている。

今回の経験で改めて痛感したことは、ITは英語でできている、という残酷な事実です。プログラムを書いていて改めて強く実感したのは、コンピュータ言語は基本的に英語の派生語であるという当たり前のことです。英語を第1言語とする国、または英語と構造がよく似た母国語を持つ国と、そうではない日本のような国では、プログラミングの学習コストは(心理的障壁含め)おそらく倍以上の格差があるでしょう。

 この個人的な経験からも改めて言えますが、世界のITビジネスは英語圏の人々が主導してきました。そのため、英語に堪能な人材が不足する日本企業は、新たな技術や情報を取り入れる際に常に一歩遅れてしまうというジレンマがありました。しかし、LLM(大規模言語モデル)の登場がこの環境を大きく変える可能性があります。LLMは、英語だけでなく、他の言語、例えば日本語の情報も理解し、それを活用できる能力を持つため、これまでのハンデをかなり克服することが可能です。AIが多言語に対応することで、情報アクセスの格差は縮小し、遅れていた日本のDX化が今後加速できる可能性があると感じます。

■ 独自の業務プロセスや意思決定プロセスを変えずに、日々の業務をLLMにより効率化できる可能性

LLMは、言語の壁に加え、日本企業独自の文化や伝統に根差したハンデを克服することに貢献できる可能性があるとも感じます。日本企業は、独自の業務プロセスや意思決定プロセスを重視する傾向にあります。これらのプロセスは企業文化や戦略に深く根ざしており、簡単に変えられるものではありません。しかし、LLMはこれらのプロセスを変えることなく、日々の業務を効率化することができる可能性があります。日本独自のDXの方向性として、数年前からRPAが注目され、現場での導入が進んでいますが、LLMはこれと似たアプローチで、しかし比べ物にならないほどのインパクトを与える可能性があります。

■ LLMを活用して新規事業やスタートアップを立ち上げることは意外と難しい可能性

 とてつもないインパクトをもたらし得るLLMですが、一方で多くの人や会社にとって大きな脅威になるであろうことも確実でしょう。LLMの登場により、新たなAIスタートアップの登場が強く期待される一方、LLMの強力すぎる能力は、多くのスタートアップの脅威になる可能性があります。これまでは、一つのスタートアップが社運を賭けて挑むようなテーマが、ChatGPTのプラグイン機能一つであっという間に代替されてしまうリスクがあることを痛感せざるを得ません。様々な可能性と脅威をもたらすLLMの動向を弊社でも引き続き注視して参ります。


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設立 2013年3月
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資本金 990万円

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代表取締役経歴

GMDコーポレートファイナンス(現KPMGFAS)にてM&Aアドバイザリー業務に従事。バイサイド、セルサイド双方の案件エグセキューションを経験。 その後、JAFCO 事業投資本部にてバイアウト(企業買収)投資業務に従事。 また、IBMビジネスコンサルティングサービス(現日本IBM)にて、通信/ITサービス企業の事業ポートフォリオ戦略立案等、情報通信/ITサービス領域におけるコーポレートファイナンス領域のプロジェクトをリード。
2013年 IGNiTE CAPITAL PARTNERS株式会社設立。代表取締役就任。

日本証券アナリスト協会検定会員
日本ファイナンス学会会員

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